ファシリテーション =>「話し合いを円滑にすすめること」を学ぶ一貫として、「ファシリテーション・グラフィック」という本を
読みました。ファシリテーション・グラフィックとは「議論を見える化」するための技法です。
このファシリテーション・グラフィックを使うメリットは次の6つです。
- 議論の全体像やポイントが見える
- 議論のポイントにメンバーの意識を集中できる
- 話し合いの共通の記録として残る
- 発言を定着させて発言者に安心感を与える
- 発言者と意見を分けるので冷静に議論できる
- 発想が広がり達成感も高まる
これにより意見が噛み合い、議論がまとまりやすくなるテクニックです。
🗻 ファシリテーション・グラフィックとは
- ホワイトボードなどに文字や図形を使って「わかりやすく議論を描く」こと
- ファシリテーション・グラフィックのメリットは、話し合いのプロセスを参加者と共有できること
🚜 ファシリテーション・グラフィックのメリット
話し合いのプロセスを共有できる
- (1) 参加者に議論の全体像やポイントを提示できる
- たとえば、ホワイトボードにアジェンダとスケジュールがあるだけで議論が本題から外れにくくなる
- (2) 参加者を異論のポイントに集中させることができる
- 議論のポイントをホワイトボードなどの項目を指すようにすることで、メンバーの意識をその項目に向けられる
- (3) 話し合いの共通の記録として残る
- 個人がメモを残さずに、共通認識として意識できる
対等な参加を促進できる
- (1) 発言を定着させて安心感を与える
- 発言を文字で定着させることで、自分のメッセージを正しく受けやめられたと確認できる
- (2) 発言を発言者から切り離すことができ、客観性が生まれる
- 発言を文字に落とすことで、発言者(ヒト)と発言内容(コト)を完全に切り離して対応ができる
- (3) 発想を広げて話し合いを楽しくできる
- 図形や色、記号、イラストを使うことで、見落としていた点を発見したり、対立を解消する新しいアイデアが生まれる
- 発言がまとめられることで、参加意識を高めることができる
🐯 ファシリテーターの目指す姿
- まず描くことから始める
- グラフィックを中心に「見える」議論をすすめる
- プロセスを管理しながらコンテンツを記録する
🚕 ファシリテーション・グラフィックの第一歩
ファシリテーション・グラフィックの基本的な描き方はこちら。
- Step1: 発言をコンパクトに要約する
- できるだけメンバーが発言で使った言葉をつなぎ合わせて、要約を箇条書きにする
- Step2: 議論のポイントを強調する
- 文字を飾ったり、記号を付け足り、図形で囲ったり、イラストをつけるなどでメリハリを付ける
- Step3: ポイントどうしの相互の関係性を示すことで、構造化を行う
- 囲み文字で束ねる、矢印をつかって関係を示す
- Step4: 図解ツールを使って構造化する
- レベルに応じて階層的に項目をまとめていく図解。ロジックツリーなど。
- グループどうしの重なり合いで関係を整理する図解。円交差図など。
- 時間の流れや因果関係に沿ってまとめていく図解。フローチャートなど。
- 表でまとめられたり、軸(切り口)に沿って整理する図解。Tチャートなど。
🐝 基本フォーマット
3つの基本フォーマットの紹介。
- 話し合いの流れがわかりやすい「リスト型」
- 発言録型: 時系列で記号を付けながら箇条書きで発言を記録。図形で囲ってグルーピングを行うとよい
- 議こと録型: 議こと録のように話し合いのプロセスを記録する方法、キーワードや合意事項を目立たせる
- 自由奔放に発想が広がる「マンダラ型」
- 中心に話し合いのテーマを書き、四方の開いているスペースにグルーピングしながら意見を描く
- スペースの使い方が難しめ。テーマの広がりを想像して、スペースの効率的な使い方に勘を働かせる
- 議論の抜け漏れが少ない「チャート型」
- グループでまとめる: 同じ範疇の意見をグルーピングしながらまとめて、階層構造に整理する
- 表でまとめる: チームで決めた評価軸を基準にマトリックスを作る
😀 どんな内容を描くか
ロジカルリスニング
- 発言を性格に理解して、内容を取捨選択した要約を作る
- 思考の道筋(前提 => 根拠 => 結論)を理解する =>「なぜそのように考えたのか?」「その考えはどこから来たのか?」
- 発言の位置付けを理解する => ひとつのテーマに対して切り口を考えて、頭の中でマトリックスを作る
どの発言のどの部分を取り上げるべきか?
- (1) 文脈から読み取る
- 話し合い全体のゴールに至るプロセスを考えて、中核的な内容を含む発言を重視する
- (2) 論点から読み取る
- 現在の論点に関する部分に絞って要約する。ただし新しい論点を提案する場合は取り上げてもよい
- (3) 違いから読み取る
- 多様な意見を集めることで、議論の幅を広げる。違う意見を優先的に取り上げる
- (4) 場の雰囲気から読み取る
- 盛り上がるポイントを取り上げるようにする
発言の真意を的確に要約する
- 発言からキーフレーズ(頻出Word)を抜き出す
- 「つまり、要するに」などの発言を要約する言葉に注目する
- 発言の構造(仮説→検証→考察など)やポイントを判断する
意図を読み解くためのポイント
- 発言者がどんな欲求(反対、承認、感情表現、etc)を達成したいのかを考える
- 発言の目的(例: 主張、質問、問題提起、反論、依頼、指示、etc)を考える
- 発言の構図(例: 功利的、規範的、感情的、etc)を考える
- 発言の信頼度(例: 憶測、観測、仮説、考察、確信、意見、etc)を考える
うまく要約できない発言への対処法
- 発言の中で活かせる部分を探す
- 発言者に確認しながらまとめたり、発言者自身に要約してもらう
- 発言の奥にあるものを探す
- 明らかに外れている場合はメモを残して話題をテーマに戻す
👽 グループ化してポイントどうしの関係を整理する
グルーピングの手法
- 枝から幹へ (帰納的なグループ化)
- 似たようなポイントを束ねて小さなグループを作る => 小グループを束ねて中グループを作る。..
- 幹から枝へ (演繹法なグループ化)
- 最初にグループ分けの切り口を考えて、ポイントを当てはめる
フレームワークの活用
その他
- グループにタイトルをつけることで理解を助ける(意訳や勝手な解釈はNG)
- 矢印を使って関係付けを行う
- 図解を行うことで、議論の整理を行う
- ツリー型 => 大分類、中分類と階層構造を作っていく。レベル間を合わせたり、MECEにするのに効果的
- サークル型 => 似た項目を円の中で一くくりにして、円の重なり具合で関係を表現。区分ワケしにくいアイデアなどに
- フロー型 => 原因と結果の関係を矢印でつないで因果構造を表す。本質的な要因を見つけるのに役立つ
- マトリックス型 => 議論の切り口を整理して、縦軸と横軸に設定して全体を整理する
🐰 画面を分割してレイアウトを考える
- 最初から張り切りすぎない
- 常に全体をイメージしながら配分を考える
- 罫線や見出しで全体に規則性をもたせるようにする。話題をブロック化する
🐹 ファシリテーターの意識すべきポイント
- 進め方
- 前半は進行を優先、中盤は記録を優先、終盤は臨機応変に対応
- 抜け漏れのないバランスの取れた議論を心がける
- ファシリテーション・グラフィックを見ながら、要点を確認しつつ進める
- 議論が詰まったら助け舟を出す
- 描き方
- 関係者に伝わるキーワードを記録しておく
- 文字で表現しにくい場合は図で表現する
- 要所を強調するための工夫をする
- まとめ方
- 重要項目を強調する、発言を取捨選択する
- 発言をコンパクトにまとめて要約する
- 大切なこと
- 結論(合意点)を具体的に書く