GoFのデザインパターン(Design Pattern)のオブザーバ(Observer)のRubyコードを使った紹介記事です。
次の条件を満たす場合にオブザーバパターンを使います。
- オブジェクトの状態が変化する可能性がある
- 変化したことをほかのオブジェクトに通知する必要がある
例としては、Aで起きたイベントをB, Cが知る必要がある場合などです。
🐮 オブザーバとは?
あるオブジェクトの状態が変化した際に、そのオブジェクト自身が「観察者」に「通知」するしくみです。オブザーバは次の3つのオブジェクトによって構成されます。
- サブジェクト(subject):変化する側のオブジェクト
- オブザーバ(Observer):状態の変化を関連するオブジェクトに通知するインタフェース
- 具象オブザーバ(ConcreteObserver):状態の変化に関連して具体的な処理を行う
🏈 オブザーバのメリット
- オブジェクト間の依存度を下げることができる
- 通知先の管理をオブザーバが行うことで、サブジェクトは通知側を意識しなくていい
😸 サンプルソース
次のようなモデルを通してObserverデザインパターンを説明します。
Employee
(サブジェクト):従業員を表すObservable
(オブザーバ):従業員のニュースを監視するしくみ(observer/Observable)Payroll
(具体オブザーバ1):給与の小切手の発行を行うTaxMan
(具体オブザーバ2):税金の請求書の発行を行う
まずは従業員を表すEmployeeクラスについてです。このEmployeeクラスは、name, title, salary
といったデータと、salaryの変更を受け付けるメソッドを持っています。
さらに、Employeeクラスにobservable
をincludeします。observable
はオブザーバとしての機能を持ったRubyの標準モジュールです。
observable
で用いるメソッドは次のとおりです。
add_observer
メソッドで通知する先のオブジェクトを追加changed
メソッドとnotify_observers
メソッドでオブジェクトに通知
こちらがEmployee
クラスの実装です。
require 'observer' |
次に給与の小切手の発行を行うPayroll
クラスと、税金の請求書の発行を行うTaxMan
クラスを作成します。これらは具体オブザーバ(ConcreteObserver)にあたります。
# 給与の小切手の発行を行う |
コーディングは以上です。では結果を確認します。
john = Employee.new('John', 'Senior Vice President', 5000) |
johnのsalary(給与)を変更するとObservableによってPayrollクラスと、TaxManクラスのupdate
メソッドが連動して動いていることがわかります。
😀 ストラテジーとの違い
- オブザーバ:発生しているオブジェクトに対してイベントを通知している
- ストラテジー:何らかの処理を行うためにオブジェクトを取得している